【相談事例】市街化調整区域の農地を資材置き場として使いたい

記事更新日:

相談者:建設会社役員

建設業を営んでいます。これまでは、事務所近くの土地に資材(鉄筋や木材等)を置いていましたが、スペースが足りなくなり、新たに資材を置く土地が必要になりました。

事務所周辺の土地を探していたところ、土地を貸してもよいという方が見つかりましたが、そこは農地で、市街化調整区域になっているということです。この農地を転用して資材置き場として使うことは可能なのでしょうか。

また、資材が雨に濡れないように屋根をつけたり、盗難防止のための仮囲いを作ったりしてもよいのでしょうか。

 

回答:行政書士

市街化調整区域の農地を資材置き場として利用する場合、その土地に建築物が建築されない限り、開発許可を受ける必要はありません。ですので、立地基準と一般基準を充たしさえすれば、農地転用の申請は許可され、資材置き場としての使用が可能になります。

ただし、資材置き場に建築物に該当するものを設置することはできませんので、プレハブを置くこともできません。仮囲いについては、工事現場で使用されているようなもの(屋根のないもの)を置くことは、これを制限する法令がありません。しかし、念のため、役所の担当部署に確認することをお勧めします。

農地転用の前提として、開発許可が必要かどうかを確認しましょう

ご相談いただきまして誠にありがとうございます。
まずは、市街化調整区域の農地転用について、どういった場合に許可を受けられるのか、少し具体的にご説明させてください。

市街化調整区域の農地を転用し、建物を建てるような場合には、面積にかかわらず、農地転用の許可の他に都市計画法に基づく開発許可が必要になります。開発許可の立地基準と技術基準をクリアしなければ、「開発行為」が許可されません。

「開発行為」とは、主として建築物の建築を目的とする土地の区画形質の変更のことをいいます。農地を宅地に変えることは、土地の質の変更になります。そのため、開発許可を受けなければ、農地転用もできないということになります。

しかし、資材置き場の場合、この土地に建築物に該当するものを建築しないとすれば、開発許可を受ける必要はありません。そのため、農地転用の許可要件である立地基準と一般基準をクリアすることができれば、その農地を資材置き場として使用することは可能になります。

転用しようとする農地の「農地区分」を確認しましょう

繰り返しになりますが、農地転用の許可を受けるためには、立地基準と一般基準を充たす必要があります。そして、実務においてより重要視されるのが、立地基準の方です。

まず確認しておかなければならないのが、その農地が農用地区域内農地(青地農地)に該当しているかどうかです。

農用地区域内農地とは、市町村が将来にわたって農業のために利用していくべき土地として指定した農地です。そのため、この農地を転用するためには、厳重な手続きが必要とされ、転用までにはかなりの期間(半年以上)が必要となります。お急ぎであれば、避けた方が無難でしょう。

次に、甲種農地または第1種農地に該当するときも転用が難しくなる可能性が高いと思われます。これらの農地は生産性の高い農地なので、法令上、例外として列挙されている場合以外では、農地転用の許可を受けることはできません。

ただし、転用しようとしている農地が現在の資材置き場と隣接している場合、転用面積が既存の土地の面積の2分の1以下であれば、「既存施設拡張事業」と評価され、許可を受けることができるかもしれません。

また、転用の期間が3年以内の一時的な転用であれば、農地に復元するという確約の上、農地転用が許可される場合があります。

第2種農地に該当する場合には、転用が認められる可能性があると考えることができます。そのためには、農地以外の土地や市街化調整区域以外の土地では、事業の目的が達成できないことを、土地選定理由書という書面で証明することになります。

その他の農地区分として、第3種農地と呼ばれる農地があります。しかし、第3種農地は市街化が進行している区域にある農地のことを指すものですので、市街化調整区域内には存在していないと考えてよいと思います。

農地転用許可の一般基準を確認しましょう

次に、農地転用の一般基準についても簡単に説明させていただきますが宜しいでしょうか。私の話、難しかったら遠慮なく質問してください。

農地転用が許可されるにあたっては、立地基準をクリアした場合にのみ、一般基準による審査が行われることになります。立地基準は、①申請目的実現の可能性があるか、そして、②周辺農地の営農への支障がないかの2つに大別することができます。

周辺農地の営農条件への支障について

  • 転用行為を行うのに必要な資力及び信用があると認められないこと
  • 申請に係る農地の転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないこと
  • 転用許可を受けた後、遅滞なく、申請に係る農地を申請に係る事業に供する見込みがないこと
  • 申請に係る事業の施行に関して行政庁の免許、許可、認可等の処分がされなかったこと又はこれらの処分がされる見込みがないこと
  • 申請に係る事業の施行に関して法令・条例により義務づけられている行政庁との協議を現に行っていること
  • 申請に係る農地と一体として申請に係る目的に供する土地を利用できる見込みがないこと
  • 申請に係る農地の面積が申請に係る事業の目的からみて適正と認められないこと
  • 申請に係る事業が、工場、住宅その他の施設の用に供される土地の造成のみを目的とするものであること

周辺農地の営農条件への支障について

  • 土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合
  • 農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合
  • その他の周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合

一般基準を充たしているかどうかについては、申請書や添付書類で役所に証明していくことになります。一見難しいように思われるかもしれませんが、1つひとつ確認して対策を講じていけば大丈夫です。

資材置き場の場合に限らないのですが、「適正な面積」については、少し注意が必要かもしれません。土地利用計画図において、空きスペースが多いと、転用面積が広すぎではないかと役所から指摘があることがあります。

この場合、使わない部分が多い、広すぎる農地の転用にならないよう、土地の利用方法の工夫が必要になるでしょう。土地の使い方についても私と一緒に考えていきましょう。

建築物とは何か、その定義について確認しましょう

さて、ご相談いただいた内容の中に、①プレハブを置くことはできないか、②資材が雨に濡れないように屋根をつけることができないか、③資材置き場を仮囲いで囲むことはできないかというものがありました。

これらのご相談については、建築基準法上の建築物の定義をしっかりと理解していただく必要があります。建築物に該当するのであれば、市街化調整区域に設置することはできないという結論になります。

まず、建築物であることの大前提として共通していえるのは、「土地に定着する」ということです。その上で次のいずれかに該当するものは建築物に該当します。

  1. 屋根と柱または屋根と壁のあるもの
  2. 屋根と柱または屋根と壁に付属する門や塀
    (以下省略)

この定義から分かるかと思いますが、①のプレハブ、②の柱や壁に屋根をつけたもの、については建築物に該当しますので、市街化調整区域に設置することはできません。つまり、開発許可を受けないままに市街化調整区域で行うことができる事業は、露天の駐車場や露天の資材置き場などに限られることになります。

③の仮囲いについては、どういう構造でどういう材質なのかという問題もあり、一概には言えないとは思います。ただ、私が某市の建築関係の部署に確認をとったところ、「一般的に工事現場で使われるような仮囲いについては、その設置を制限する法令がない」という回答を受けたことがあるのは事実です。

まとめ

市街化調整区域内の農地においては、都市計画法と農地法の「二重の規制」が存在するため、農業以外での利用についてはなかなか難しいのが現実です。ただし、屋根のない(露天の)資材置き場や駐車場として利用する場合には、開発許可は不要なので、農地転用の要件を充たすことで実現は可能です。

実現のポイントは、何といっても、転用しようとする農地がどの「農地区分」と判断されるかだと考えます。第2種農地と判断された場合、実現の可能性は高くなることでしょう。

※ 農地区分の判断方法については、農地転用における「農地区分」の判定方法について行政書士が解説 で詳細に解説しています。

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