農地転用における「農地区分」の判定方法について行政書士が解説

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農地転用の許可は、①営農条件などからみた農地の区分に応じた許可基準である「立地基準」と、②農地の区分にかかわらない許可基準である「一般基準」に大別されています。そして、この2つの基準を充たさなければ、許可を受けることができません。

農地転用の許可申請では、立地基準の審査が一般基準の審査に先立って行われます。ですので、立地基準をクリアできない場合には、一般基準の審査がなされずに申請が却下されることになります。(事前相談の段階で、申請しないよう助言されます。)

ところで、立地基準においては、農地を5種類に区分し、それぞれに対して農地転用の可否を定めています。つまり、立地基準の審査の前提として、許可申請の対象となる農地がどの農地区分に該当するのかを判定しなければならないことになります。

それでは、立地基準を充たすかどうかの審査の前提となる農地区分は、どのような基準で、どのような手順で判定されているのでしょうか。

この記事では、農地転用の許可制度の根幹ともいえる「農地区分」について、その判定方法を解説しています。農地区分を判定するのは役所の側ではありますが、どのような方法で判定しているかを知っておくことは、とても重要なことだと考えます。

これを知っておけば、事前に転用の可否を予測することができます。また、農地区分の判定が微妙なケースでは、役所との話し合いの余地が生じるかもしれません。何も知らなければ、言われたままに従うほかありません。

農地区分の判定手順をフローチャートで確認

農地転用における農地区分の判定は、次に示すフローチャートの順番で行われています。強調しておきますが、妥当な判定を行うためには、手順に沿って切り分けをしていくことが重要になります。なお、このフローチャートは、福島県の「農地法関係事務処理の手引き」より引用させていただきました。

STEP1 農地区分「農用地区域内農地」の判定基準

最初に確認するのが、その農地が農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に規定されている農用地区域にあるかどうかです。これに該当すれば、農地区分は「農用地区域内農地」ということになり、該当しなければ次のステップに移ります。

農用地区域内農地とは、市町村が定める農業振興地域整備計画の中で、将来にわたって農業のために利用していくべき土地として指定された農地です。そのため、一時的な転用などのごくわずかな例外を除いて、農地転用は許可されません。

もっとも、農振除外という手続きを行って、申請農地を農用地区域から外すことが認められれば、転用ができるようになる場合もあります。しかし、農振除外は、都道府県の同意が必要であるなど、手続きにかなりの時間を要します。長期的な計画を立てなければなりません。

農用地区域内の農地かどうかは、市町村の農業政策課、農業振興課といった、農業委員会事務局とは異なる部署で確認することができます。すべての農用地区域内農地が台帳で管理されているので、地番が分かればすぐに確認が可能です。

また、簡易的な方法としてeMAFF農地ナビというサイトで調べるという方法もあります。ただし、実際に農振除外の手続きを進める際には、事前に役所に問い合わせて、確認を取らなければならないでしょう。

STEP2 農地区分「甲種農地」の判定基準

STEP1で、「農用地区域内の農地ではない」という判断をした場合、次に検討するのは、申請農地が甲種農地の基準に該当するかどうかです。

甲種農地とは、市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地で、次の1または2のいずれかに該当するものをいいます。甲種農地と判断された場合、農地転用は原則的には許可されません。

1.おおむね10ha以上の一団の農地の区域内にある農地で、その区画の面積、形状、傾斜および土性が高性能農業機械による営農に適する農地

2.特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地で、工事完了の年度の翌年度から8年以内の農地

2.の基準について解説を加えます。「特定土地改良事業等」とは、次の①および②に該当する土地改良事業、またはこれに準ずる事業のことを指します。

① 次のいずれかに該当する事業(主として農地または採草放牧地の災害を防止することを目的とするものを除く)であること
ア 農業用用排水施設の新設または変更
イ 区画整理
ウ 農地または採草放牧地の造成
エ 埋立てまたは干拓
オ 客土、暗きよ排水その他の農地の改良・保全のため必要な事業

② 次のいずれかに該当する事業であること

ア 国または地方公共団体が行う事業
イ 国または地方公共団体が直接・間接に経費の全部・一部につき補助その他の助成を行う事業
ウ 日本政策金融公庫から資金の貸付けを受けて行う事業

また、ここでいう特定土地改良事業等とは、農地を開発することまたは農地の形質に変更を加えることによって、当該農地を改良・保全することを目的とする事業(面的整備事業)に限られるとされています。

土地改良事業とはどのような事業なのか

ところで、先に触れた「土地改良事業」ですが、皆様はこの事業がどのようなものなのかをご存じでしょうか。本題からはそれますが、ここで少し解説したいと思います。

土地改良事業とは、農業の生産性向上や農業構造の改善を目的とした、農用地や農業用水路、農道などの農業生産基盤の整備を行う事業のことで、土地・水系のつながりのある一定の地域内の土地を受益地として行われるものです。

具体的な事業内容としては、①土地改良施設(かんがい排水施設、農業用道路など)の整備・管理、②区画整理(いわゆる「ほ場整備事業」)、③災害復旧、④交換分合などが挙げられます。

土地改良事業は、農業者の同意と申請に基づき実施することが原則ですが、実施主体については規模や性質に応じて様々です。また、その特徴として、受益地の農業者の3分の2以上の同意により、強制的に事業を実施することも可能となっています。

土地改良事業の実施主体に、「土地改良区」という地域の農業者の団体があります。土地改良区の受益地となっている農地を転用する場合、受益地から除外する手続きが必要となり、手数料や決済金が求められることがあります。

STEP3 農地区分「第3種農地」の判定基準

さて、話は農地区分の判定方法に戻ります。STEP2で「甲種農地ではない」という判断をした場合、次に検討するのは、第3種農地に該当するかどうかです。気をつけなければならないのは、甲種農地の次が第1種農地ではないことです。

なぜなら、申請農地が第1種農地の要件を充たす場合でも、第3種農地や第2種農地の判断基準に該当すれば、後者の方が優先されるからです。判定の順番が大事だと述べた理由が分かるかと思います。

第3種農地とは、市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で、以下の1~3のいずれかに該当する農地のことです。この農地区分であると判定された場合、(一般基準が充たされれば)農地転用は原則許可されます。

1.道路、下水道その他の公共施設または鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況が次の①、②に掲げる程度に達している区域

① 【公共施設便益区域内農地】
水管、下水道管またはガス管のうち2種類以上が埋設されている道路の沿道の区域であって、容易にこれらの施設の便益を享受することができ、かつ、おおむね500m以内に2以上の教育施設、医療施設その他の公共施設または公益的施設が存すること

② 【公共施設至近距離区域内農地】
おおむね300m以内に次に掲げるいずれかの施設が存すること
• 鉄道の駅、軌道(路面電車)の停車場、船舶の発着場
• 高速自動車国道(高速道路)の出入口
• 県庁、市役所、町村役場(支所を含む)
• その他上記に類する施設(バスターミナルなど)

2.宅地化の状況が次の①~③に掲げる程度に達している地域

① 【市街地内農地】
住宅、事業用店舗または公共施設、公益的施設が、50m以内の間隔でおおむね50戸以上連たんしており、それらの施設の外縁部を結んだ線の内側に存する農地であること

 

② 【宅地進行化区域内農地】
街区(道路、鉄道または河川、水路等によって区画された地域のこと)の面積に占める宅地面積割合が40%を超えていること

③ 【用途地域内農地】
用途地域が定められており、農業上の土地利用との調整が調っていること

3.【土地区画整理域内農地】
土地区画整理事業の施行に係る区域にあること

STEP4 農地区分「第2種農地」の判定基準(その1)


STEP1からSTEP3までの過程で、「農用地区域内農地」、「甲種農地」そして「第3種農地」という判定がなされれば、3つの農地区分が確定していることになります。残されている農地区分は、「第1種農地」と「第2種農地」です。

第1種農地と第2種農地の該当性の判定は、第2種農地の方が優先されます。申請農地が第1種農地に該当する場合でも、第2種農地と判定されれば、農地区分は「第2種農地」となります。それでは第2種農地の判定基準です。

第2種農地とは、第3種農地に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で、次の1または2に該当する農地のことをいいます。第2種農地の転用は、申請農地周辺の農地以外の土地や第3種農地に立地が困難な場合に許可されます。

1.道路、下水道その他の公共施設または鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況からみて、第3種農地の場合における公共施設などの整備状況の程度に該当することが見込まれる区域内にある農地で、次の①または②にあてはまる農地

① 【街区形成区域内農地】
相当数の街区を形成している農地

② 【公共施設近距離区域内農地】
次のア~ウの施設の周囲おおむね500m以内の区域内にある農地
ア 鉄道の駅、軌道(路面電車)の停車場、船舶の発着場
イ 県庁、市役所、町村役場(支所を含む)
ウ その他上記に類する施設(高速道路の出入口など)

2.【市街地近傍小集団農地】
 次の①および②に該当する規模が10ha未満の小集団の農地

① 宅地化の状況が、第3種農地の【市街地内農地】、【宅地進行化区域内農地】、【用途地域内農地】に該当することが見込まれる区域であること
② 宅地化の状況が第3種農地の【市街地内農地】に掲げる程度に達している区域に近接する区域内にある農地であること

文字だけを追いかけてもなかなかイメージしづらいかと思います。解説している私としても心苦しいところではありますが、農地区分の判定基準は、法令によってきちんと定義されていることは覚えておかれるとよいと思います。

STEP5 農地区分「第1種農地」の判定基準

そろそろ終わりに近づいてきました。最後の判定は、「農用地区域内農地」でもなく、「甲種農地」でも「第3種農地」でもなく、そして「第2種農地」でもない場合に、申請農地が「第1種農地」に該当するかどうかです。

農用地区域内農地、甲種農地、第3種農地、第2種農地、これらの農地区分だと判定されなければ、残りは「第1種農地」に決まっているのではないかと考えるのは無理もないのですが、実はこれは違います。

上のフローチャートを再度ご覧ください。申請農地が、第1種農地と判定されない場合、つまりどの農地区分にも当てはまらなかった場合には、第2種農地と判定するルールが残っているのです。それでは、第1種農地の判定基準について解説します。

第1種農地とは、良好な営農条件を備えている農地で、次の1~3のいずれかに該当するものをいいます。農地区分が「第1種農地」と判定された場合、そこでの転用は、例外的なもの以外は許可されません。原則不許可といってもよいでしょう。

1.おおむね10ha以上の規模の一団の農地

一団の農地とは、山林、宅地、河川、高速道路などの農業機械が横断できない土地に囲まれている、集団的に存在する(まとまっている)農地のことをいいます。

農業用道路、農業用用排水施設、防風林などが点在している場合であっても、実際に農業機械が容易に横断・迂回することができ、一体として利用することに支障がない場合には、一団の農地として取り扱われます。

しかし、傾斜、土壌の性質その他の自然的条件からみて、効率的な営農を行うことができず、一体として利用することに支障がある場合には、一団の農地として取り扱われません。

2.特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地

この判定基準は、甲種農地のケースとほとんど同じです。ただし、市街化調整区域の場合には甲種農地となりますので、第1種農地と判定されるのは、それ以外の区域区分にある農地になります。

また、甲種農地の基準には、特定土地改良事業等の工事完了の年度の翌年度から8年以内という期間の限定がありましたが、第1種農地ではそれがありません。とはいっても、かなりの期間が経過した場合でも、その農地はずっと第1種農地と判定されるかといえばそうではないようです。

実際に、過去に土地改良事業による換地が行われた農地でも、ある程度の期間が経過し、遊休農地となっているような場合には、第2種農地と判定されることがあります。具体的に何年経てばいいのかというのは、許可の権限のある自治体によって異なっています。

3.高生産性農地

傾斜、土壌の性質その他の自然的条件からみて、その近傍の標準的な農地を超える生産をあげると認められる農地のことをいいます。この判定基準は甲種農地にはないものであり、第1種農地に特有のものです。

その農地が高生産性農地に該当するかどうかは、統計資料などにより客観的に判断されます。福島県では、①農業災害補償法の基準収穫量(農業共済組合による証明)、②福島県農林水産統計年報、③市町村が独自に作成している資料などによって判断するとされています。

※ 第1種農地でも農地転用が許可されるケースについて詳しく知りたい方は、第1種農地における農地転用の許可要件を行政書士が解説 の記事をご一読ください。

STEP6 農地区分「第2種農地」の判定基準(その2)

最後に、農用地区域内にある農地以外で、甲種農地、第3種農地、第2種農地、第1種農地の判定基準のどれにも該当しなかった農地についてですが、この農地は「その他の農地」として、農地区分「第2種農地」に帰属させることになります。

具体的にどのような農地がこれに該当するのかといえば、中山間地域に存在する農業公共投資の対象となっていない、小集団の生産性の高くない農地になることが多いです。

最後に、行政書士からひと言

農地転用の可否を決めるのは、申請農地がどの農地区分と判定されるかにかかっているといっても過言ではありません。特に申請農地が第1種農地と判定されるか、第2種農地と判定されるかは大きな分岐点といえるでしょう。

農用地区域内農地以外の農地は、一筆一筆の農地がどの農地区分になるか、あらかじめ決められているわけではありません。農地転用の相談があった際に、役所が現地調査をして判定することが多いです。ほとんどの場合、役所の判断は妥当でしょう。

しかし、判断が難しいケースでは、役所の見解と事業者の見解が異なることがあるかと思います。そのような場合は、根拠をもって意見を述べることが必要であると考えます。この記事は、事業者の皆様が正しい判定ができるようにという願いを込めて書かれたものです。

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