
太陽光発電設備の名義変更を調べていると、「説明会」や「事前周知措置」という言葉が出てくることがあります。単なる事業者名義の変更で、なぜ近隣住民への説明や周知が必要になるのか、分かりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
2024年4月の制度改正により、一定の太陽光発電設備については、事業者を変更する前に説明会または事前周知措置が必要となる場合があります。必要な対応は、設備の出力、設置場所、変更の原因などによって異なります。
この記事では、名義変更の際に説明会や事前周知措置が必要となる場合と、あわせて提出を求められることがある関係法令手続状況報告書について解説します。
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どのような場合に事前周知措置や説明会が必要になるのか
2024年4月から、一定の再エネ発電事業では、新規の認定申請だけでなく、変更認定申請の前にも説明会または事前周知措置が必要になりました。
認定事業者そのものが変わる場合のほか、株主や出資者といった密接関係者、実質的支配者が変わる場合も原則として対象です。事業譲渡や合併・会社分割による事業者変更も含まれます。
一方、既存のFIT案件をFIPへ移行するだけの申請(いわゆるFIP転)では、説明会等は不要とされています。
出典:JPEA代行申請センター「説明会及び事前周知措置について」
10kW未満と一定の屋根設置設備は対象外になる
すべての名義変更で説明会や事前周知措置が必要になるわけではありません。出力10kW未満の太陽光発電設備は、説明会・事前周知措置を認定要件として求められていません。
屋根に設置された太陽光発電設備については、認定を受けた時期によって取扱いが異なります。2023年10月以降に屋根設置価格が適用された設備は、設備IDの頭文字が「6」または「8」となっており、FIT・FIP制度上も屋根設置太陽光発電設備として扱われます。
これに対して、屋根設置太陽光の買取区分が設けられた2023年10月1日より前に認定を受けた10kW以上50kW未満の設備では、実際に太陽光パネルが建物の屋根に設置されているだけでは足りません。
変更認定申請の際に屋根設置として扱われるためには、上の図に記載された建物の登記事項証明書、検査済証、写真・図面などの所定の書類を提出する必要があります。なお、2023年3月20日より前に運転開始した500kW未満の設備では、使用前自己確認届出の提出は求められていません。
そのため、古い設備では、現況が屋根置きであっても、必要な書類を用意できるかによって説明会・事前周知措置の要否が変わります。所定の書類を提出できず、屋根設置としての取扱いを受けられない10kW以上50kW未満の設備では、事業譲渡による変更認定申請の前に説明会または事前周知措置を実施する必要があります。
説明会と事前周知措置のどちらが必要になるのか
説明会等が必要となる場合には、設備の出力や設置場所によって、説明会と事前周知措置のどちらを実施するかが決まります。
50kW未満の低圧設備では原則として事前周知措置となります。ただし、林地開発許可や盛土規制法・砂防法の許可対象エリア、土砂災害警戒区域、自然環境や景観を保護する条例で定められたエリアなどでは、説明会の開催が必要です。
また、敷地境界から100m以内に同一事業者または密接関係者の再エネ発電設備があり、それらの出力の合計が50kW以上となる場合も、説明会を開催する必要があります。
50kW以上の高圧・特別高圧設備では、屋根設置を除き、原則として説明会を開催しなければなりません。
さらに、一定の関係法令による許認可や環境アセスメント等が関係する場合には、説明会を実施する時期について追加の要件が設けられることがあります。
なお、ここで説明しているのは、再エネ特措法に基づくFIT・FIPの認定要件です。設備の所在地によっては、自治体の条例や指導要綱などに基づく手続きが別途必要となる場合があります。
事前周知措置・説明会は、どう進めていけばいいのか
事前周知措置と説明会は、どちらも周辺住民に事業計画の内容を知らせるための手続きですが、実施方法は異なります。事前周知措置は、ポスティングなどによって事業計画を周知する方法です。
説明会と事前周知措置のどちらを実施するかを事業者が自由に選べるわけではなく、設備の出力や設置場所などによって必要な措置が決まります。
一方の説明会は、事業者本人が周辺住民の方々に対して口頭・対面で事業内容を説明し、質疑応答を行う場を設けるものです。実施までの流れとしては、まず事業実施場所が属する市町村へ事前相談を行い、その内容を踏まえて「周辺地域の住民」の範囲や開催案内の内容を固めていくことになります。
開催案内は説明会の2週間前までに周辺住民の方へ届ける必要があり、地図を添付すること、深夜・早朝やアクセスが困難な場所を避けることなど、細かな要件が定められています。そして、認定申請日の3ヶ月前までに実施しておく必要がある点は、スケジュールを組むうえで特に留意すべきポイントです。
市町村への事前相談について
「事前周知措置や説明会は、最初に何かしらの審査があるのでは」と思われがちですが、実は二段階に分かれています。
まず、市町村への事前相談の際に、実際に配布する予定の説明資料や、「周辺地域の住民」の範囲がわかる地図などを添付して提出します。
市町村への事前相談では、説明会の対象となる「周辺地域の住民」に追加すべき者がいないかについて、市町村の意見を確認します。市町村から回答を得るまでに時間を要する場合もあるため、余裕を持って事前相談を行う必要があります。
電子申請システム上の仮登録について
もう1つが、資源エネルギー庁の電子申請システム上で行う「仮登録」です。説明会の開催が必要となる場合には、開催前に事業者名や連絡先、設備の設置場所、説明会の開催日時・開催場所などの情報を登録する必要があります。
これはチラシの文面そのものを審査するというより、隣接する土地・建物所有者へシステムを通じて開催案内を行うための、いわば「日程・場所の登録」に近い手続きだとイメージするとわかりやすいと思います。
とはいえ、この仮登録をしていなかったり、登録した開催日時・場所に誤りがあったりすると、不認定となるリスクがあるとされており、決して軽く見てよいステップではありません。
説明会を開催する場合は、「市町村への事前相談 → システムへの仮登録 → 開催案内(説明会の2週間前まで) → 説明会本番 → 本登録」という順番でスケジュールを組んでいくことになります。特に市町村への事前相談は回答に時間がかかることもあるため、逆算して早めに動き出すことをおすすめします。
説明会開催における留意点
当日は録音・録画とその記録の保管も必須です。出席者のプライバシーに配慮し、出席者の背面から説明者が映る角度で、説明会の全景を録画することが求められます。
名義変更のご相談でとりわけお伝えしておきたいのが、認定事業者を変更する場合の説明会には、原則として旧認定事業者・新認定事業者の双方が出席することが求められるという点です。
「もう譲渡は終わっているのに、前の所有者にまた出てきてもらわないといけないのか」と驚かれることも多いのですが、事業譲渡や合併・会社分割を伴う取引では、契約の段階でこの点の役割分担を決めておくことをおすすめします。
なお、環境アセスメントなど他の法令や条例に基づく説明会等をすでに実施済みで、その内容が再エネ特措法の要件を満たしている場合は、改めて説明会を開催する必要はありません。手続きの合理化が図られる扱いになっています。
ただしその場合も、実施した説明会等が再エネ特措法に基づくものであることを明示し、説明会概要報告書等を提出して要件を満たしていることを証明する必要があります。「一度やったから大丈夫」と思い込まず、この証明の部分まで丁寧に対応することが大切です。
関係法令手続状況報告書では、何をどう調べればいいのか
事業譲渡や生前贈与、競売による事業者変更の場合、10kW以上の設備では「事業実施体制図」に加えて「関係法令手続状況報告書」の提出も求められます。この報告書は、事業の実施にあたって必要となる関係法令の手続き状況を、認定申請の時点で整理して報告するためのものです。
なお、屋根に設置された太陽光発電設備では、所定の書類によって屋根設置であることを証明できる場合、農地法、都市計画法、森林法、盛土規制法など一部の法令について報告を省略できます。
ただし、実際に太陽光パネルが屋根に設置されているだけで省略できるわけではありません。2023年10月1日より前に認定を受けた設備では、建物の登記事項証明書、検査済証、写真・図面など、屋根設置であることを証明する所定の書類を提出する必要があります。
これらの書類を提出できない場合は、屋根置きの設備であっても省略の取扱いを受けられないため、各法令への該当の有無を個別に調べる必要があります。
ここで押さえておきたいのは、「申請までにすべての関係法令の手続きを完了させておかなければならない」わけではないということです。認定申請の時点では、必要となる関係法令への該当の有無や手続きの進捗状況を報告します。
とはいえ、「とりあえず出しておけば済む」書類でもありません。認定後に必要な関係法令を遵守していないことが判明した場合は、認定が取り消されてしまう可能性もあります。
そのため、対象となる設備がどの法令(森林法、農地法、都市計画法、砂防法など)の適用を受けるのか、それぞれの手続きが今どの段階にあるのかを、設置場所や設備の状況から一つひとつ丁寧に調査していく作業がどうしても必要になってきます。
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ここまで解説してきたとおり、事前周知措置・説明会の要否も、関係法令手続状況報告書で調査すべき内容も、設備の出力・設置形態・立地エリア・お手元の書類の有無によって大きく変わってきます。
表面上は同じ「名義変更」に見えるご依頼でも、実際に調査を始めてみると、必要な手続きの数や複雑さが大きく異なるケースが少なくありません。
そのため、申請代行を受任する前に、必要な手続きと作業内容を確認することが重要です。当事務所では、事前確認を行い、その結果を踏まえて、申請代行の内容と報酬額をご案内しています。
事前確認料や申請代行報酬の目安については、「太陽光発電設備の名義変更代行サービス」のページをご確認ください。説明会や関係法令手続状況報告書への対応を含む名義変更手続きの依頼を検討されている方は、同ページのお問い合わせフォームからご連絡ください。





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