
2026年6月5日、「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が公布されました。新法では、一定量以上の事業用太陽電池を廃棄する発電事業者などに、国への事前届出が求められます。
届出後は、原則として30日を経過するまで太陽光パネルを排出できません。また、新法の届出義務者と、廃棄物処理法上の排出事業者が一致しない場合がある点にも注意が必要です。
新制度はまだ施行されておらず、対象となる重量基準なども今後定められます。この記事では、事前届出と30日の排出制限、既存の廃止手続きやマニフェストとの関係を解説します。
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太陽光パネルの大量廃棄に新たな届出制度が設けられる
新法では、収益事業で使用されている、または使用されていた一定の太陽電池を「事業用太陽電池」としています。このうち、廃棄しようとする太陽電池の重量が政令で定める要件に該当する者が「多量事業用太陽電池廃棄者」と呼ばれます。
多量事業用太陽電池廃棄者は、廃棄する前に「多量事業用太陽電池廃棄実施計画」を作成し、主務大臣(環境大臣と経済産業大臣)に届け出なければなりません。
新たな届出制度はまだ施行されていない
法律は2026年6月5日に公布されましたが、届出制度を含む主要部分は、公布の日から1年6か月を超えない範囲内で政令により定める日から施行されます。2026年8月8日現在、具体的な施行日はまだ定められていません。
また、施行された当日からすべての対象事業者に届出義務が生じるわけではありません。経過措置により、施行日から30日を経過した日以後に自らパネルを排出する場合や、他の者に撤去工事などを着手させる場合に適用されます。
法律や今後の政省令に関する情報は、環境省の「太陽光パネルリサイクル関連」で公表されています。 法令の定めがどのように具体化されるのか、今後も注視していくことが重要です。
届出後は原則30日間パネルを排出できない
新制度で特に注意したいのが、届出後の30日間です。多量事業用太陽電池廃棄実施計画の届出が受理された日から30日を経過するまでは、原則として計画に記載した太陽電池廃棄物を自ら排出できません。
ここでいう「排出」には、撤去などの工事・作業によって太陽電池廃棄物を排出する場面も含まれます。
また、この制限は発電事業者自身が排出する場合だけではありません。他の事業者に工事や作業を行わせ、その工事によってパネルを排出させることも禁止されています。そのため、発電事業者は、この期間を見込んで撤去工事の日程を決める必要があります。
届出をせず、または虚偽の届出をして排出した場合や、30日の制限期間中に排出した場合には、30万円以下の罰金が定められています。
30日の期間は短縮・延長される場合がある
排出するパネルの全部について再資源化等を選択し、処分を新法の認定事業者、または再資源化事業等高度化法の認定高度分離・回収事業者が行う場合には、一定の要件のもとで30日の期間を短縮できる仕組みがあります。
一方、計画内容について勧告や命令の必要性を審査するため相当の期間を要する場合には、期間が延長されることもあります。
廃棄実施計画には撤去工程や処分先も記載する
多量事業用太陽電池廃棄実施計画には、新法で次の事項を記載することが定められています。細かな届出方法や様式については、今後の主務省令で定められます。
- 届出者の氏名または名称、住所など
- 廃棄する予定の太陽電池の数量と重量
- 排出を予定する時期と場所
- 撤去工事などを他の事業者に行わせる場合は、その工程や事業者
- 太陽電池廃棄物の処分方法
- 再資源化等を行わない場合は、その理由
- 処分を行う事業者
- その他、主務省令で定める事項
撤去業者などを計画に記載した場合には、届出後、その事業者に対して排出に関する計画内容を遅滞なく通知することも義務付けられています。
新法の届出と既存の廃止手続き・マニフェストは別の制度
太陽光発電設備を廃止してパネルを処分する際には、新法以外にも複数の制度が関係します。新法の届出が始まっても、以下で示す既存の手続きがこれに置き換わるわけではありません。
| 制度・手続き | 主な目的 | 主に対応する者 |
|---|---|---|
| 廃棄等費用積立制度 | 解体・撤去・処分費用を確保する | 対象となる発電事業者 |
| FIT・FIP認定設備の廃止手続 | 認定発電事業の廃止に伴う手続 | FIT・FIP認定事業者 |
| マニフェスト | 産業廃棄物の処理状況を管理する | 廃棄物処理法上の排出事業者 |
廃棄等費用積立制度
一定の事業用太陽光発電設備には、将来の解体・撤去・処分に必要となる費用を確保するため、廃棄等費用積立制度が設けられています。
これは撤去・処分費用を確保する制度であり、新法による廃棄実施計画の届出とは役割が異なります。
FIT・FIP認定設備の廃止手続き
FIT・FIPの認定を受けた発電事業を廃止する場合には、「再生可能エネルギー発電事業廃止届出書」による届出も必要です。資源エネルギー庁では、認定発電設備を廃止して撤去・処分する際には、あらかじめ廃止届出を行うよう案内しています。
名義変更をはじめとする事業計画の変更については、当サイトの「太陽光発電設備の名義変更、手続きの違いを行政書士が解説」で、変更認定申請、事前変更届出、事後変更届出の違いを解説しています。
新法の届出義務者と排出事業者は一致しないことがある
実務上、特に注意したいのがこの点です。発電事業者が撤去工事を業者へ発注する場合、新法では発電事業者側が事業用太陽電池廃棄者として届出義務を負うことがあります。
一方、撤去工事が建設工事に該当し、請負により行われる場合には、工事に伴って生じる廃棄物については元請業者が廃棄物処理法上の排出事業者となります。産業廃棄物の処理を委託する場合には、この排出事業者がマニフェストを交付します。
つまり、発電事業者自身がマニフェストを交付しない場合でも、新法上の届出義務を負うことがあります。そして、届出後の原則30日間は、撤去業者にパネルを排出させることもできません。
発電事業者は、自ら廃棄物を運搬・処分しない場合でも、新法の届出時期を踏まえて撤去業者と工事工程を調整する必要があります。ここが、新法と従来の廃棄物処理法との関係で特に注意したい点です。
自社が届出対象になるかは今後の基準で判断する
新法の届出は、すべての太陽光発電事業者を一律に対象とするものではありません。届出対象となるのは、廃棄しようとする事業用太陽電池の重量が、政令で定める要件に該当する場合です。
具体的な重量基準はまだ定められていないため、現時点では発電所の出力やパネル枚数だけで届出対象になるかを断定できません。今後制定される政令を踏まえて判断することになります。
もっとも、重量基準に達せず届出対象にならない場合でも、新法と無関係になるわけではありません。太陽電池を廃棄する者には、廃棄量の抑制や再資源化等を含む適切な処分方法の選択に努める責務が定められています。
また、事業用太陽電池廃棄者については、国が今後定める判断基準を踏まえ、必要に応じて主務大臣が指導・助言を行う仕組みも設けられています。届出義務の有無と、新法上求められる取組は分けて考える必要があります。
発電事業者は撤去時期と処分先を早めに検討する
新制度の対象となる場合、発電事業者は事前届出、原則30日の排出制限、撤去業者への通知などを踏まえて、撤去工程や処分先を検討する必要があります。さらに、設備の廃止や譲渡を伴う場合には、FIT・FIPの廃止手続き、事業計画変更、名義変更なども関係します。
当事務所では、太陽光発電設備の名義変更や事業計画変更の手続きを取り扱っています。設備の廃止や譲渡に伴い、どの手続きが必要になるのか分からない場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。
なお、使用済み太陽光パネルを受け入れるリサイクル事業者側には、国による再資源化等事業計画の認定制度も設けられます。処理する側の制度については、建設業サイトの「太陽光パネル再資源化法の認定制度と施設許可について解説」で解説しています。参考になれば幸いです。




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