太陽光発電設備の名義変更、手続きの違いを行政書士が解説

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太陽光発電設備の名義変更は、変更の原因によって選択する手続きが異なります。相続であれば事後変更届出、事業譲渡であれば変更認定申請というように、同じ名義変更であっても、すべて同じ方法で手続きできるわけではありません。

手続きの種類を誤ると、電子申請を途中からやり直したり、必要書類を改めて準備したりしなければならないことがあります。

この記事では、「変更認定申請」「事前変更届出」「事後変更届出」「卒FIT事前変更届出」の違いと、どのような変更がそれぞれの手続きに当たるのかを解説します。

太陽光設備の名義変更等、4つの手続きの位置づけ

事業計画認定を受けた太陽光発電設備の内容を変更する場合、その変更内容に応じて、次の4種類のいずれかの手続きを行うことになります。

変更認定申請

認定を受けている事業計画の重要な内容を変更するため、その変更内容について審査を受け、変更認定を受ける手続きです。調達価格・基準価格が変わる可能性のある変更も、この手続きの対象になります。

事前変更届出

変更認定申請の対象ではありませんが、変更が生じる前に提出しておく必要がある届出です。

事後変更届出

変更認定申請の対象ではなく、変更が生じた後に届け出る手続きです。

卒FIT事前変更届出

調達期間・交付期間が終了した設備、いわゆる卒FIT案件について、事前変更届出に相当する手続きです。

大まかに言えば、「事業計画の重要な内容が変わるか」「変更前と変更後のどちらで届け出るか」という違いがあります。ただし、実際にどの手続きに該当するかは、変更する項目ごとにあらかじめ定められています。

変更認定申請に当たる主な変更

変更内容についてどの手続きを選ぶかは、事業者や代行者が自由に決めるものではありません。資源エネルギー庁が公表している「変更内容ごとの変更手続の整理表」で、変更する項目ごとに、対象となる手続きの種類があらかじめ定められています。

変更認定申請に当たる主な変更は、次のとおりです。

  • 事業譲渡による認定事業者の変更
  •  会社分割・合併による認定事業者の変更
  •  競売物件による認定事業者の変更
  •  発電設備の出力の変更
  • 発電設備の設置場所の変更
  • 屋根設置・地上設置の別の変更
  • 太陽電池の合計出力など、太陽電池に関する事項の変更

このように、事業譲渡、会社分割、合併や競売によって認定事業者が変わる場合は、調達期間・交付期間中であれば変更認定申請の対象になります。発電設備の出力や設置場所、太陽電池に関する事項など、事業計画の重要な内容を変更する場合も同様です。

また、事業譲渡、合併、会社分割による認定事業者の変更や、発電設備の設置場所の変更、認定出力または太陽電池の合計出力を一定以上増加させる場合には、変更認定申請の前に説明会の開催または事前周知措置の実施が必要になることがあります。

出力変更によって価格が変わる場合がある

太陽光発電設備の内容変更の中でも特に注意したいのが、太陽電池モジュールの合計出力を変更するケースです。

基準となる合計出力から3kW以上または3%以上増加させる場合、あるいは20%以上減少させる場合は、原則として調達価格・基準価格が変更されるため、変更認定申請の対象になります。

ただし、出力が10kW未満の設備で、変更後も10kW未満となる出力増加や、電力会社による接続検討の結果を受けて運転開始前に変更する場合など、価格が変更されない例外もあります。

また、10kW以上の設備におけるパネルの増設や更新では、既設部分の価格を維持し、新たな部分に変更認定時の価格を適用したうえで、全体の価格を按分して算定する場合があります。

稼働後に増設や機器の入れ替えを検討される際は、この基準を超えていないか、価格変更の例外に該当しないかを、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

事前変更届出に当たる主な変更

事前変更届出は、変更認定申請に当たらない変更のうち、変更前に届け出る必要があるものです。

主なものとして、変更認定申請の対象となるものを除いた発電設備の設置場所の変更、接続契約締結先の変更、保守点検及び維持管理計画の変更などがあります。

例えば、地番の追加や削除であっても、発電設備を別の場所へ移設するものではなく、当初の設置場所と同一の場所とみなされる場合には、事前変更届出の対象となることがあります。また、保守点検責任者の変更に伴って、点検項目や点検方法、実施スケジュールなどを変更する場合も、事前変更届出が必要となることがあります。

同じ項目の変更であっても、変更する内容によって変更認定申請と事前変更届出のいずれになるかが異なります。そのため、「設置場所の変更だから事前変更届出」というように、項目名だけで判断することはできません。

事後変更届出に当たる主な変更

事後変更届出は、変更が生じた後に届け出る手続きです。名義変更に関係する主なものとして、次の変更があります。

  • 相続による認定事業者の変更
  • 事業者の氏名・名称の変更
  • 事業者の住所の変更
  • 法人の代表者・役員の変更
  •  離婚による太陽光発電設備の分与
  •  賃貸マンション等で、設備の貸与を受ける入居者を変更する場合

相続による名義変更は、発電設備を承継した相続人が事後変更届出を行います。事業譲渡や会社分割・合併とは、必要となる手続きが異なるため注意が必要です。

事業者の社名変更も原則として事後変更届出です。ただし、事業者名の変更にあわせてインボイス発行事業者の登録番号も変更する場合は、変更認定申請となります。

婚姻・離婚等に伴う戸籍上の氏名変更については、事業者名の変更自体は原則不要ですが、変更を希望する場合には、事後変更届出によって届け出ます。

このように、同じ「名義変更」というくくりの中でも、変更理由によって手続きの種類が異なります。相続は事後変更届出として位置づけられている一方、事業譲渡、会社分割、合併や競売による認定事業者の変更は、調達期間・交付期間中であれば変更認定申請の対象になります。

卒FIT事前変更届出に当たる主な変更

卒FIT事前変更届出は、調達期間・交付期間が終了した設備について、事前変更届出に相当する変更を行うための手続きです。

調達期間・交付期間が終了した設備について、次のような理由で認定事業者を変更する場合は、卒FIT事前変更届出の対象となります。

  • 事業譲渡
  • 会社分割・合併
  • 競売による取得

調達期間・交付期間中であれば変更認定申請となる変更であっても、期間が終了した後は、卒FIT事前変更届出によって手続きを行うものがあります。

ただし、卒FIT設備に関する変更が、すべて卒FIT事前変更届出になるわけではありません。社名変更、住所変更、相続など、事後変更届出に当たる変更については、調達期間・交付期間の終了後も通常の事後変更届出が必要です。

変更手続きを行う前に確認しておきたいこと

「名義変更だから、いつも同じ手続きで済む」と考えず、変更理由ごとに「変更内容ごとの変更手続の整理表」を確認することが大切です。

事業譲渡、相続、会社分割、合併のほか、競売物件による取得、離婚に伴う分与、賃貸物件で入居者に設備を貸与する形態での入居者変更などについても、個別の項目が設けられており、それぞれで必要書類が異なります。

50kW未満では添付書類の取扱いが異なる

太陽光発電設備は、出力が50kW未満であるかどうかによって、同じ変更認定申請であっても、必要となる添付書類の取扱いが異なる場合があります。

例えば、50kW未満の太陽光発電設備では、構造図や配線図について、資源エネルギー庁が示す標準構造図・標準配線図と異なる場合に限って添付が必要とされる項目があります。また、発電設備の出力変更では、50kW未満の太陽光発電設備について発電設備の仕様書が不要とされるなど、設備の規模によって必要書類が異なります。

実際に必要となる書類は、設備の規模だけでなく、変更する項目や個別の事情によっても異なります。そのため、申請を予定している場合は、必要書類を早めに確認しておくことが大切です。

異なる種類の変更手続きは同時に進められない

事前変更届出や事後変更届出の対象とされている項目を、変更認定申請として手続きすることはできません。変更認定申請と変更届出の両方が必要になる場合は、それぞれを分けて行う必要があります。

また、電子申請では、同じ事業計画について異なる種類の変更手続きを同時に進めることはできません。先に行った手続きが完了または受理された後に、次の手続きを行うことになります。

電子申請システムでは、対象となる認定設備を選択したうえで、変更内容に該当する手続きを選び、必要事項を入力して添付書類をアップロードします。手続きの種類を誤って選択すると、申請の種類を選び直さなければならないことがありますので、入力を始める前に、どの手続きに該当するかを確認しておく必要があります。

どの手続きに当たるか判断に迷う場合は、電子申請システムへの入力を進める前に、JPEA代行申請センター(JP-AC)へ確認しておくことをおすすめします。

太陽光発電設備の名義変更で手続きに迷った方へ

「変更認定申請」「事前変更届出」「事後変更届出」「卒FIT事前変更届出」は、変更する内容や変更の原因によって使い分ける必要があります。

同じ名義変更であっても、相続、事業譲渡、会社分割、合併、競売などによって必要となる手続きや添付書類は異なります。また、複数の変更がある場合には、手続きを行う順番にも注意しなければなりません。

合併・会社分割による名義変更について詳しくは、別記事「太陽光発電設備の名義変更、合併・会社分割による事業者変更を行政書士が解説」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

当事務所では、太陽光発電設備の名義変更手続きについて、どの手続きに当たるかの判断から必要書類の確認、電子申請の代行まで一括してサポートしております。手続きの種類がご自身では判断しづらい場合は、下記のページからお問い合わせください。

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