合併・会社分割による太陽光発電設備の事業者変更手続を解説

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「太陽光発電事業を行う会社を、吸収合併や会社分割で他社に統合することになりました。この場合、経済産業省への手続きは何か必要になりますか」

相続や売買による名義変更に比べると、合併・会社分割に伴う名義変更については情報があまり出回っておらず、担当者の方が「グループ内の再編だから、特に何もしなくていいのでは」と見落としてしまうケースも起こりえます。

この記事では、合併・会社分割に伴う太陽光発電設備の名義変更について、対象となるケース、必要な手続きと書類、そして見落としやすいポイントを順を追って解説します。

合併・会社分割で名義変更が必要になるケースとは

太陽光発電設備の事業計画認定を受けている会社が、合併により消滅して存続会社・新設会社が事業を引き継ぐ場合や、会社分割で太陽光発電事業が別会社に承継される場合は、認定事業者が変わるため、原則として変更認定申請の対象となります。

また、調達期間または交付期間が終了している設備については、卒FIT事前変更届出として手続きを行います。

「合併前から自社グループで一体的に運営していたのだから、実質的には変わっていない」とお考えになる方もいらっしゃいますが、固定価格買取制度(FIT・FIP制度)上は認定を受けている法人が変わる以上、名義変更の手続きが必要になります。

合併・会社分割では認定事業者が変わるかを確認します

 合併や会社分割にはいくつかの類型がありますが、太陽光発電設備の名義変更を判断するうえで重要なのは、会社法上の名称そのものではありません。確認すべきなのは、現在の認定事業者から別の法人へ太陽光発電事業が承継されるかどうかです。

組織再編の類型 太陽光発電事業の承継 名義変更の要否
吸収合併 消滅会社の事業を存続会社が承継する 消滅会社が認定事業者の場合は必要
新設合併 合併する会社が消滅し、新設会社が事業を承継する 新設会社へ認定事業者が変わるため必要
吸収分割 分割会社の事業の全部または一部を既存の承継会社が引き継ぐ 太陽光発電事業が承継会社へ移る場合は必要
新設分割 分割会社の事業の全部または一部を新設会社が引き継ぐ 太陽光発電事業が新設会社へ移る場合は必要

吸収合併では、太陽光発電設備の認定事業者である会社が消滅会社となり、その事業を存続会社が引き継ぐ場合に名義変更が必要です。一方、存続会社がもともと保有していた設備については、認定事業者が変わらないため、合併を理由とする名義変更は必要ありません。

会社分割では、分割会社自体は原則として存続します。そのため、会社分割が行われたという事実だけで名義変更が必要になるわけではありません。分割契約または分割計画により、太陽光発電事業が承継会社または新設会社へ移る場合に、認定事業者の変更手続きが必要になります。

反対に、会社分割後も太陽光発電事業が分割会社に残る場合は、認定事業者が変わらないため、会社分割を理由とする名義変更は不要です。

なお、新設合併や新設分割によって新設会社が認定事業者となる場合は、申請に必要な履歴事項全部証明書を取得するため、法人設立登記の完了を待つ必要があります。組織再編の日程と申請準備の時期をあらかじめ確認しておくことが重要です。

また、認定事業者そのものが変わらない場合でも、組織再編に伴って社名、代表者または本店所在地が変わるときは、その変更内容に応じた別の届出が必要になります。

合併・会社分割による変更は原則として変更認定申請

資源エネルギー庁が公表している「変更内容ごとの変更手続の整理表」によると、会社分割・合併による事業者変更は、通常の認定期間中であれば「変更認定申請」によって手続きを行います。

また、調達期間または交付期間が終了した設備については、「卒FIT事前変更届出」として手続きを行います。通常の「事前変更届出」ではありませんので、手続区分を間違えないよう注意が必要です。

変更認定申請、事前変更届出、事後変更届出、卒FIT事前変更届出という4種類の手続きそのものの違いについては、以下の記事で整理していますので、あわせてご確認ください。

いずれの手続きも、電子申請システムを通じて行うのが基本です。旧会社側のログインID・パスワードでの操作が必要な場面があり、効力発生日直前に慌てて着手すると担当者と連絡が取りづらくなります。契約段階から社内で共有しておくと安心です。

太陽光発電設備の名義変更、手続きの違いを行政書士が解説

必要書類

合併・会社分割による名義変更で基本となる添付書類は、次の3点です。

  • 会社分割・合併の事実を証する履歴事項全部証明書
  • 事業実施体制図
  • 関係法令手続状況報告書

このうち履歴事項全部証明書は、合併や会社分割の登記が完了した後でなければ取得できません。そのため、登記完了前の段階で申請の準備だけを進めておき、履歴事項全部証明書が取得でき次第、速やかに申請するという流れになります。

なお、事業実施体制図や関係法令手続状況報告書は、事業譲渡や相続など、ほかの名義変更理由でも共通して求められる書類です。過去に別の理由で作成したことがある場合も、今回の変更内容に合わせて記載し直す必要があります。

株式取得による「密接関係者」の変更との違い

合併や会社分割のように認定事業者そのものが変わるケースとは別に、株式取得によって太陽光発電事業を行う会社の大株主が変わる、いわゆる組織再編・M&Aのケースもあります。

この場合、会社そのものは変わらないため、認定事業者の名義変更にはあたりません。しかし、「事業実施体制図」に記載された密接関係者に変更が生じるため、密接関係者の変更に係る変更認定申請の対象になります。

株式会社の場合、密接関係者には、原則として認定事業者に対する議決権の過半数を保有する株主などが該当します。単に一定数の株式を保有している大株主が変わったというだけで、直ちに密接関係者の変更に該当するわけではありません。

必要書類は、認定事業者の法人形態や変更内容によって、次のように異なります。

ケース 必要書類
持分会社で社員に変更があった場合 履歴事項全部証明書(証明書に記載のない社員の変更の場合は、原本証明付きの定款)
株式会社で議決権の過半数を保有する株主に変更があった場合 変更前後の株主名簿の写し(代表取締役の原本証明付き)、または有価証券報告書等の写し
匿名組合出資の過半数を持つ出資者に変更があった場合 匿名組合出資持分の変更に係る契約書
密接関係者の親会社に変更があった場合 密接関係者該当性が確認できる資料(体制図等)と、親会社の変更が分かる資料

「合併・会社分割ではないから名義変更は不要」と判断すると、認定事業者の名義変更は不要であっても、密接関係者の変更に係る変更認定申請が必要だったというケースがあります。

そのため、株式や持分の異動を伴うM&Aでは、合併・会社分割かどうかにかかわらず、密接関係者の変更に該当しないか確認しておくことをおすすめします。

なお、代表者や役員の交代自体は、密接関係者の変更を伴わない限り、事後変更届出で足ります。密接関係者に該当する株主等の変動を伴う場合には、代表者交代とは別に、密接関係者の変更に係る変更認定申請が必要となる点に注意が必要です。

設備の設置場所が農地の場合:農地法上の届出も忘れずに

太陽光発電設備の多くは事前に農地転用許可を受けており、地目も農地でなくなるため、通常はこの届出と無関係です。例外は、営農を続けながら一時転用許可で設置する営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングのケースです。

この場合、土地の権利もあわせて承継されるときは、一般承継として農地法第3条第1項の許可は不要ですが、権利を取得したことを知った時から遅滞なく(おおむね10か月以内)に、農業委員会へ農地法第3条の3の届出が必要です。届出を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

説明会・事前周知措置の要否も確認を

出力10kW以上の太陽光発電設備(屋根設置の一部を除く)については、名義変更にあたって説明会の開催または事前周知措置の実施が必要になる場合があります。この要件は、合併や会社分割、密接関係者の変更を伴うケースも対象に含まれます。

以前、以下の記事で説明会・事前周知措置についてお話ししましたので、あわせてご確認ください。

太陽光発電設備の名義変更、説明会・事前周知を行政書士が解説

電力会社との契約・保守点検責任者の変更も忘れずに

 事業計画認定の名義変更が完了しても、それだけで手続きは終わりません。電力会社との売電契約(特定契約)についても、別途、契約者名の変更が必要です。また、保守点検責任者が変わる場合は、事業実施体制図と関係法令手続状況報告書もあわせて提出します。

合併・会社分割が決まった段階で早めに手続きの確認を

合併や会社分割は、事業の実態が変わらないように見えても、FIT・FIP制度上は認定事業者の変更として扱われ、原則として変更認定申請が必要になります。

また、合併・会社分割を伴わない株式異動であっても、認定事業者の密接関係者が変わる場合には、密接関係者の変更に係る変更認定申請が必要になることがあります。

「グループ内の再編だから」「実質的に変わっていないから」と手続きを省略すると、後から発覚した際に是正の手間が増えます。M&Aや組織再編のスケジュールが決まった段階で、名義変更や密接関係者の変更に関する手続きの要否を早めにご確認いただくことをおすすめします。

当事務所では、太陽光発電設備の名義変更手続きについて、必要書類の確認から電子申請の代行まで一括してサポートしております。合併・会社分割・組織再編に伴う名義変更でお困りの事業者様は、下記のページからお問い合わせください。

太陽光発電設備の名義変更手続きを行政書士が代行します

 

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